研究員たちは、飛行型アンドロイドを開発するかたわら個人用飛行ユニットをも完成させていた。騎乗型飛行ユニットである。
速度性能で大司教さまをしのぐだけでなく、ある程度の重量物を搭載した状態でも空を飛べる逸品であった。
ただ…試験中に研究員は思い知った…地上走行(通常の馬と同様に地上も走れる)時点ですでに彼らの運動神経では乗りこなすことが不可能であることを。高性能すぎたのである。
コスト的に量産のしようがないほど高価であるため、軍での採用もむつかしい…というわけで、ひみつそしきにエージェント用の備品として納品してしまうことにした。
研究所員たちの創作意欲はだいぶ満たされたものの自分が空を楽しむ...という目的はいまだ達成されていないため、このあとは安全と使いやすさ(コストは無視されている)を中心に研究開発が進んでいくこととなる。