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ある日、夫が生前に贈ってくれた宝飾品を身に着けて懐かしんでいると、息子のラウルスがそれをじっと見ていた。『綺麗だね。』と言うので『ジュエリーが?』と訊くと、『ママもだよ。』と言って照れくさそうに抱きついた。本当にこの子は、素直で可愛くて、いつでも私を嬉しい気持ちにさせてくれる。
暫く可愛がっていると、ラウルスは『ママはジュエリーが好きなの?』と訊いてきた。私が肯定すると、『じゃあ、ボクはそれの職人さんになる。そしたら、ママに綺麗なジュエリーいっぱい作ってあげるね!』と真剣な眼差しで言った。
もう、本当に、この子ったら。私のこと、どれだけ喜ばせるつもりかしら。夫を亡くして私の心にぽっかり開いた穴が、ラウルスの温かく優しい心でどんどん埋められていく。そんなに喜ばされたら、ママ…おかしくなっちゃいそうよ。今でも世界でたった一人の最愛の息子なのに、『それ以上に』愛したくなっちゃう。
私は普通のママでいなきゃ駄目なのに…。あなたのせいでママ、ちょっと大変なんだからっ…♡