倅が（既視感ある）怪しげな物体を口に含んでいて、ゲゲ郎は驚きのあまり髪を操ってしまった。
そこに水木母が居合わせる。
（ま、まままマズイ！）
水木が割とすんなりと幽霊族と妖怪を受け入れてくれたのが稀で、ほとんどの人間は受け入れることは無い。
むしろ手ひどく排斥されるのが常。
（折角ここでの生活も落ち着いて来たのに、水木と別れ、また人里を離れなければならないのか！？
いや、そうなったときは水木だけでも連れていかねばなるまい……！）
頭の中でナチュラルに相棒連れ去りを計画し始めるゲゲ郎。
しかし、それを止めたのは相棒の御母堂だった。
「落ち着きなさい。ソレを口に含んだくらいじゃ何もならないわ」
御母堂が徐（おもむろ）に、その特徴的な丸眼鏡を外す。
すると、そこには……
「ご、御母堂！？」
水木に面差しがよく似た妙齢の女性が、凛と佇んでいた。