走り、歌って一通りを終えて僕は控え室に戻ってきた。
トレーナーにお疲れの挨拶をしに行こうと思ってたんだ。
なんてそんなことは立前。頑張ったことをいっぱい褒めてもらって沢山撫でてもらって甘えるんだ。
そんな僕が気分よく控え室に戻ってきたときに見たものは、これ以上ないご褒美だった。
トレーナーが爆睡していたのだ。
仕事にレース後のインタビュー、ウイニングライブの応援からそれを終えた後、舞台裏でコンサートスタッフに挨拶をするのだ。
僕より早く終えるけど、それでも大変なのに変わりはない。
僕も疲れているけどトレーナーだって疲れている。
テイオー「…♬」
でも関係ない。それは僕だって疲れているんだ。
テイオー「だから僕も休ませてもらうね…」
この部屋、というよりここのレース場は防音効果抜群な上、ウマ娘の力でも傷つかない頑丈な構造だ。
そして僕はドアの鍵を閉める。これで余計なものは入り込んでこない。
誰も僕達だけの空間に入り込もうとはさせない。
ハンドグローブを外し、素手になってから隣に横になる。
手袋ではトレーナーの温もりなんて感じられないじゃないか。こんなものこの場に必要がない。
そしてトレーナーの脇の間にすっぽり収まる。
これだけではまだ足りない。
トレーナーの腕を掴み、僕の肩に回す。まるで僕のことを片腕で抱きしめてるように。
テイオー「っ!」
ウマ娘の嗅覚は人より鋭くで匂いが強ければ猫のように敏感になる。
そして僕はただいま絶讚トレーナーの横腹に顔を埋めて嗅いだのだ。
テイオー「ふー…ヤバいね」スンスン…
まだシャワーも浴びておらず、汗ばんでムラついていた僕は最初はすぐに出て洗うつもりでいたが、すぐにどうでもよくなった。
トレーナーの匂いが強すぎて汗ばんだだけで恥ずかしくなる僕の羞恥なんか、ちっぽけに感じたからだ。
テイオー「ふぁ…。僕も本当に眠たくなってきちゃったよ。おやすみ…」コテ
もっと堪能しておきたかったが、トレーナーの匂いに安心し始めた僕は眠気に身を委ねて瞼を閉じ始めた。
本当は、ここで手を出して彼を手放さないようにする、なんてこともできるが、僕は正々堂々真正面からトレーナーを堕としたい。
レース、今後のことなんて比じゃない。
僕にとって最も攻略が難しいのはトレーナーの目を僕だけに釘付けにすることなのだ。
一方的に縛り付けてしまうのは素敵でも何でもない。
卑怯な手を使って脅すことに魅力なんて微塵も感じられない。
だから僕は真正面から向き合って、最も綺麗なままトレーナーを堕としたい。
だからトレーナー、
テイオー「僕は君に、勝つからね…」スー…スー…
そう言って僕はトレーナーに抱きつきながら完全に夢に落ちた。
幸せな夢を見た気がした。
※普通に帰りが遅くなってしまいました。
久々にトップ.オブ.ジョイフルのダイオー描いた気がする…。