「うわぁ、ふわっふわ……!」
私は両手で抱き上げたジャージーウーリーのやわらかさに思わず感嘆の声をあげた。
その瞬間、まるで綿菓子を抱きしめているかのような感覚に包まれる。
「見てー!アルトリア!この子、まるで雲みたいにふわふわ!」
アルトリアの隣でうさぎを抱えたまま、私は嬉しそうに彼女に話しかけた。
彼女は少し不思議そうな顔をしながら、そっと指先でジャージーウーリーの毛並みを撫でる。
「……本当に柔らかいですね。まるでシルクのようです」
そう呟きながら、アルトリアの翠の瞳がうさぎのつぶらな瞳と合う。
小さな体をちょこんと丸めて大人しくしている姿に、彼女も自然と表情を和らげた。
「ねぇ、アルトリア、ジャージーウーリーってね、小型の長毛種のうさぎで、もともとはアメリカで生まれた品種なの。
体重は1.3~1.6kgくらいで、性格もすごく穏やかなんだって! しかも、耳はそんなに長くないけど、モフモフの毛で全身が包まれてるから、見た目はまるで小さなぬいぐるみみたいなの!」
私は嬉々として説明を続けながら、ジャージーウーリーの柔らかな毛を優しく撫でる。
その毛並みはまさに絹のようで、抱っこしているだけで幸せな気持ちになれるほどだった。
「可愛いですね……」
アルトリアも小さく呟きながら、ふわふわの毛並みを優しく撫でていた。
しかし、ふと自分の姿に気づいた彼女は少し真剣な表情になり、微妙に眉をひそめた。
「……しかし、なぜ私までこのような格好を……」
そう、アルトリアは今、可愛らしいうさぎの着ぐるみを着せられていた。
ピンク色のフードの先にはふわふわのうさ耳がついており、背中には小さなしっぽまでついている。
まるで、ジャージーウーリーとお揃いの姿になっていた。
「だって、絶対にジャージーウーリーさんと同じ格好をしたアルトリアは可愛いと思って!」
私は迷いなく断言する。
アルトリアは一瞬ぽかんとした後、短くため息をついた。
「はぁ……。まったく、貴女は……。しかし……」
そう言いながらも、彼女の頬はほんのり赤い。
それがまんざらでもない証拠だと私はすぐに察した。
「貴女の願いだから聞くのですよ。他の者には他言無用ですからね」
「もちろん! こんな可愛いアルトリア、他の人には見せないよ?」
私が満面の笑みでそう返すと、アルトリアはますます頬を染めた。
彼女は誤魔化すように、再びジャージーウーリーを撫でる。
その指先はどこか優しく、まるで愛おしさを確かめるようだった。
(まあ、彼女も同じ格好でとても愛らしいですし……良しとしましょう)
そう心の中で思っているのが、彼女の表情から伝わってくる。
ピンクのフードのうさ耳が揺れ、青い瞳が静かに細められる。
私はその光景を、胸の奥にそっとしまい込んだ。
こうして、私とアルトリア、そしてふわふわのジャージーウーリーは、誰にも邪魔されない、穏やかな時間を過ごすのだった。
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fin.