『──……あー、あー……録音できてるかな……?良さそうだね……。
えーっと……本日は2025年⬛︎月⬛︎日⬛︎曜日……時刻は22時41分。没っちゃった研究記録を音声データとして残しておくことにする。没にするには惜しいからねぇ〜。いつか何かの拍子に役立てばラッキーかなぁ。
知っての通り、俺はグラニュートさえ倒せるような最強の生命体を作りたくって研究をしてる……わけなんだけど……一口に最強って言っても、自然界を見ればわかる通り、強さにも色々あるよね〜?
圧倒的な力で敵をねじ伏せるのも強さ。
強かにひっそりと動いて不意をつくのも強さ。
それに……群れを作って集団で敵を仕留めるのも、また強さだ。
これは、そういうアプローチで進めてたアイデアだったんだよね〜。
名付けて【量産型ヴァレン計画】。
絆斗クンにあげた“バスター“。アレのアップグレード版……えーっと、仮に“マグナム“って呼ぼっか。
“マグナム“を量産化して複数人が武装する……いわゆる数にものを言わせた集団戦術でグラニュートを討伐するってわけ。
結構いいプランだと思っていたんだけどね〜。被験体となる人がなかなか確保できなくって没になっちゃった。まぁ、中身の状態を無視していいなら、前に失敗しちゃった人達をもっかい使うって手もあったんだけどねぇ……。
あ、そういえば。ビターガヴのみんなも一応集団だけど……彼らは群れというよりは互いに競い合う生存競争の相手という方が正しいよねぇ。
えーっと……で、結局何だっけ……?まぁいいや。
ともかく、以上が実現しなかった俺のプランの一つ。この記録がいつか何かの役に立っていたらいいね〜。
……以上。記録を終えるよ。』
(研究室に残された音声ファイルより)