人気アイドルの桐谷遥を手駒にする。

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人気アイドルの桐谷遥。
彼女はアイドルとしての意識も高く、可愛く希望を届けるステージの裏ではストイックなまでに努力家である。
私はアイドル事務所を経営していて、全盛期の時に一度桐谷遥と会って話した事がある。
アイドルとしての魅力、楽屋での仕草や言動、スタッフにも決して横暴に接する事はなく、優しく謙虚で全てが輝いて見えた。

一度はアイドルを引退したものの、今はMORE MORE JUMP!として新たに幅広く活動していき、人気も上昇している。
復帰したと聞いた時は耳を疑った。そして入念に桐谷遥の活動を追うようになった。
更に追っていく内にいつしか私の心の中での密かな思いが確信に変わっていく。

（桐谷遥はもちろんの事、このモモジャンの4人には他のアイドルには無い光るものがある。必ずこの4人は、どこのアイドルにも負けない唯一無二のトップアイドルになれるだろう。）

私の見る目に狂いはない。
たくさんの事務所に掛け合ってみてもどこも入れて貰えず、現在はフリーで活動するモモジャン。
このままフリーで活動するぐらいなら、いっそ私の経営する事務所に引き入れれば、アイドル事務所としてトップになれるのでは？
その為なら私は手段を選ばない。どんな手を使ってでもモモジャンを私の事務所に引き入れよう。
だが今は何の知名度もない弱小事務所だ。このままでは所属はおろか、不審がられて終わるのが普通である。

……そう言えば、前に私の言う事に何でも従う催眠動画を作っていた。
仕事上の関係者として、桐谷遥との連絡先を交換していた私は、早速その動画を桐谷遥に送った。
催眠状態になれば桐谷遥から居場所を教えてもらえるだろう。
しばらくして案の定居場所を伝えられた私は、早速その場所へ向かった。
扉を開けたら、そこには光の無い目で私を見つめる桐谷遥の姿があった。
……成功だ。
これで私の目的の為に桐谷遥も協力してくれる。

そして翌日のライブ配信では、私にしか分からない虚ろな目でダンスをする桐谷遥の姿があった。
桐谷遥にも協力して貰い、このまま残り3人も手駒に出来れば、私の事務所の所属も容易い。
もう一度言うが私は目的の為なら手段は選ばない。

必ずMORE MORE JUMP!を引き入れて、アイドル事務所の大手に君臨すると配信を見ながら決意するのだった。