アーサー王伝説の舞台は、5~6世紀のブリテン島。史実における当時のブリテン島は、西ローマ帝国が属州として支配するのを止めた直後であり、現在のイングランド・ウェールズに相当する地域であるブリタニアに住み、ローマ帝国の属州支配を受けたことによりローマ文化に染まったケルト人(ブリトン人)の諸王国。現在のスコットランドに相当する地域であるカレドニアに住み、ローマ帝国の属州支配を受けなかったことによりローマ文化に染まらなかったケルト人(ピクト人)の諸王国。最初からローマ帝国の侵略を受けなかったアイルランド島に住んでいたケルト人(スコット人)の諸王国。現在のドイツ・デンマーク・オランダに相当する地域であるゲルマニアから海を渡って攻め込んできて、後にイングランド王国を築くアングル族、サクソン族、ジュート族、フリース族などのゲルマン系部族(サクソン人)による諸王国が群雄割拠する乱世でした。そんな中、ブリトン人の諸王たちを団結させてサクソン人やピクト人など侵略者を撃破し、一時的に平和をもたらした指導者がアーサー王、というのがアーサー王伝説の基本的な設定です。
当時のブリトン人の戦士の装備は、後世の騎士道物語で描かれるような中世騎士のものではなく、ローマ帝国軍風であったと考えられております。そして、ランサーアルトリアのスキル使用時ボイス「カタフラクティ、展開します」から、後期ローマ帝国軍で運用されていた重装甲の騎兵「カタフラクタリウス」風の装束でランサーアルトリアさんを描きました。
右手に持っているのは、ブリトン人がローマ帝国軍が使っていたのを真似て取り入れ、現代のウェールズ国旗の起源となったと考えられている竜を模った吹き流しです。
背景は、アーサー王伝説においてアーサー王の生誕地だとされている6世紀頃のティンタジェル城の復元図を参考にしております。
◆参考文献
・Angus Konstam『British Forts in the Age of Arthur』
・Raffaele d‘Amato & Andrea Salimbeti『Post-Roman Kingdoms -Dark Ages` Gaul & Britain, AD 450-800』
・Andrey Negin & Raffaele d`Amato『Roman Heavy Cavalry(1) -Cataphractarii & Clibanarii, 1st Century BC-5th Century AD』
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イメレス先の素晴らしい絵を見て我が内なるドラゴンハートが燃え上がったので、描かざるを得ませんでした。こんな感じで、以前描いたFate×史実装束の絵をリメイクしていきたいと思います。