歪ミスコン

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　西暦2050年、日本は男性がシス女性に「かわいい」、「きれい」など容姿を褒める言葉を発するとセクハラ罪により投獄される恐ろしい世の中と化していた。つまるところ、それらの外見を賛美する言葉の尽くは、TSっ娘や男の娘に対してだけ使うことが赦される、使い所が極めて限定される言葉となってしまっていたのである。その余波は方々に及び、たとえば世の中のミスコンは参加者すべてがTSっ娘と男の娘だけという歪んだ世界となっていた。
　シス女性は男性から腫れ物扱いされ敬遠された挙げ句、男性同士での恋愛が薄っすらと流行り、そういう背景のもと、需要の高まりを受けて性転換や女装をする男子は増加の一途を辿っていったのであった。

「グフフ……今度のウチのミスコン、この分だとオレが優勝で決まりだなあ。さっき敵情視察してきたけど、オレ以外はザコばっかだ」
「わざわざTS薬飲んでまでやることか？」

「なに言ってんだ、賞金10万だぞ！？　10万あったら夏休みに旅行に行けるだろうが。おまえも連れてってやるぞ？」
「オレはいいよ……」

「なんでだよ、遠慮すんなって」
「いやだって、変身したあと戻れないんだろう？男のオレが女のおまえと一緒に旅行に行っていいのか？　まだ高校生なのに」

「堅いやつだなあ、そんなこと気にしてんのかよ。オレら友達なんだからなんも起きるはずないだろ？」
「……」

「なんだよ、その沈黙は。やめろよ、意識しちゃうだろ/////」
「だって、おまえ、優勝できる確証があるくらいは見た目に自信あんだろ？　オレだって一応男なんだが？」

「う、いや、いいんだよ、別に……/////」
「よくないだろ……/////」

「おまえだったら……いいよ……/////」
「……おまえまさか、女になったのはオレと一緒に旅行に行くのが目的？ｗ」

「ちっ、ちがっ！/////」
「ええー？ｗ」

「違うって、バカ！/////」
「まあ、これだけかわいけりゃ優勝は間違いないだろうけどな」

「そ、そうだよ。だから参加しないと損だろ？　分かりきった話だよ」
「ふん、まあそういうことにしとくか。一応、応援してっからな」

「うん！　任せとけ」
「じゃあおまえが優勝したらどこ行く？　オレ沖縄がいいな」

「いいな、沖縄！　決まり！」

　このあとめちゃくちゃ優勝した。

-完-

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