むかーしむかーし、ある伝説の人斬りがいました
剣の道を進む者たちの中で知らぬ者はいなかった
だけど、誰もその人斬りの名も、性別も、素顔も、年も、動機も、素性も
なにもかも、わからない
唯一絶対的な事実として、人の域を超えた人斬りの能力を持っていることだけ
それだけが、唯一現実として判明していた
何人だろうとその刃から逃れることは敵わなかった
振るう刃の早きことまさに疾風の如く、激しきこと迅雷の如し
気づいた時には皆、頭を垂れて眠りにつく、誰もそれに気づけない
誰もそれから逃れ得ない
影の世界にて、名乗りもせず、言葉を発さずに秩序を生んだ、線引きをした
まるで遥か超常のものであるように感じるその絶対の存在
だけど、確かに実在した
故に、裏の世界に巣食う者たちの間でそれは厄災に数えられ
いつしかそれは、畏怖と敬意の念を持ってこう呼ばれるようになりました
『死神』と