急速に進んだ改造技術は人々が行うスポーツにも大きな影響を与えた。競技も生身のみ、義手義足が主、そして義体メインへと分類された。そして、さらに義体分野では各社が技術とパワーを競うようになっていた。大会は各社の技術祭典のようになっていた。もはや人々は生身か義体かということは気にしなくなっている。
そんな中、少女はテニスの大会に出場していた。義体故に生身の人間ではできないような技も頻発するようになっていた。
「は、速いっ!」
打ちのがしたボールを見て少女は言った。相手は海外の競合国である。海外は技術集合体で選手を送り出している。サイボーグ技術の複雑さはもはや一国ではどうにもならない状態になっていた。そんな中。少女は一国のみで形成された技術で出場していた。つまり、国の命運を背負って出場しているのだ。
「このままだと負けてしまう・・・」
少女は以外と生身部分が多い選手であった。それに対し相手は体のほとんどが機械化されている。正確さ、スピード、パワーではかなわない。
とは言え、勝機がないわけではない。機械故のもろさもあるのだ。特に脳から信号を受けて稼働する部分はAI学習との組合せに頼ったものが多い。そこを突くしかない。
(一か八か、あの肉体技をやるしかない・・・)
終