「あ…見えちゃう？」

夕暮れの花道を、奏は軽やかで気ままな足取りで歩いていた。寮から出てきたばかりなのか、大きめのTシャツ一枚だけを着て、両手で裾をそっと引き下げ、風にめくられないようにしている。黄金色の瞳は夕陽に輝き、表情はいつも通りの無垢で天然なまま。視線があなたと交わった瞬間、彼女はただ小首をかしげ、「なぜそんな顔で見てくるの？」とでも言いたげに…自分の格好がどれほど目を引くかなど、まるで気づいていないようだった。