小田急電鉄8000形:
輸送力改善のもと、中型車を一掃すべく1982年より製造されたのが8000形である。
制御方式は省エネルギーの観点から、9000形(
illust/19872445)以来となる界磁チョッパ制御を採用。
また、モーターケーシングを角型として140kWという大出力を実現し、
各駅停車における加速性能と急行運用における高速安定性を両立している。
車体は、それまでの小田急の通勤型電車とは一線を画したデザインが採用され、
その点では同じく斬新なデザインだった9000形の再来といえる。
9000形では前面窓ガラスを天地方向に上げた「ガイコツ顔」が印象的だったが、
8000形ではさらに前面部分の窓を連続させたデザインとした。
このデザインは先に登場した富山地方鉄道14760形(
illust/40157880)にもよく似ているが、
小田急8000形の場合は窓押さえ金具をすべて黒としたことで、
あたかも巨大な一枚窓の顔に見えるような工夫がなされている。
さらにライトケースは7000形LSE(
illust/19865162)に引き続いて角型のものを配置し、
その結果全体的にスクエアな印象となっている。
さて、8000形の車体は一見すると全普通鋼製に思えるが、実は基礎鋼体や床板、
さらには屋根板など強度が必要かつ、腐食が懸念されるな部分にはステンレス鋼が用いられている。
かつて、鋼体を普通鋼で組み立てて外板のみステンレスとした
「スキンステンレス」という車体が存在したが、
8000形の場合はまさにその逆の方法で組み立てられているのである。
2002年よりリニューアルを実施。
まず最初に更新された8251Fおよび8255F(ともに6連)は内装の更新および、
電源装置・コンプレッサーの交換、行先表示器のLED化にとどまっていたが、
翌年度施行分からはVVVFインバータ制御に改造され、新3000形(
illust/38665370)と同様の性能に生まれ変わっている。
さらに2005年度以降からは行先表示器がフルカラーLEDとなるなど、
改造時期によってバリエーションが増えておりファンの目を楽しませている。
現在、小田急の一般車では最後の全塗装車両である。