「貴様、なかなかいい身体しとるな! 名前はなんだ?」
そう声をかけてきたのは機関長の岩村大尉だった。
「・・ナマエ……」
「は!この者はF1号という…」
折笠が代わって答える。
「ばかたれ!そんな名前があるか!」
そう言われても他に答えようもなかった。そんな折笠にお構いなしに機関長は言った。
「そうか、名無しならわしが付けてやろう。そいつの親父の名前は?」
「はい! …独逸のフランケンスタインという科学者だそうです。」
「なに、フランケン・・スタイン・・か…。
よし!貴様の名前は不乱ケン太だ。」
周りの者がどっと笑った。
「機関長。そのまんまじゃないですか。」
「なにを言うか。良い名前だろうが!。」
「ケンタ…、オレ、フラン・・ケンタ…?。」
「おお、気に入ったか?」
F1号・・いや不乱ケン太は自分の名前を嬉しそうに繰り返すのだった。