北海道旅客鉄道・東日本旅客鉄道24系(「北斗星」用):
1988年の青函トンネル開通に合わせ、国鉄最末期からJR発足直後にかけて、
24系(
illust/67506091)は大改造されていた。耐寒・耐雪構造を強化するとともに、個室寝台の充実を中心とした
列車編成全体の居住性向上、および青函トンネル通過にともなう防火対策の強化などを図った。
これらは主に特急「北斗星」や青函急行「はまなす」、および東北方面の「あけぼの」などで
使用されていたのだが、中でも「北斗星」用の24系はその改造内容が多岐にわたり多くの番台区分が誕生した。
昨今「クルーズトレイン」と呼ばれる団体臨時専用の豪華寝台列車が誕生しているが、
「北斗星」はまさにその先駆けとなる車両だったといえるだろう。
折しもこの1988年という年は「オリエント急行」が来日運行した年でもあり、
JR北海道・JR東日本の両者をさらに刺激したことは言うまでもない。
なお、JR北海道には継承された24系そのものが少なかったこともあり、大半を14系から改造している。
最上段から順に、「北斗星」で使われた主な車両を見てみよう。
まずはオロネ24形500番台、国鉄末期に改造されたオロネ25形500番台と同様の設備を持つ「ツインデラックス」で、
種車はオハネ24形である。25形からの改造車が多い「北斗星」客車だが、24形からの改造車も結構な数が存在していた。
続いてオロネ25形550番台、これもツインデラックスだが窓配置が特徴的で、500番台に比べ個室が広くなっている。オハネ14形からの改造で1両だけ存在した。
オロハネ25形550番台、B個室「デュエット」7室とA個室「ロイヤル」2室を備えた車両。
JR東日本にも似た形態のオロハネ24形550番台が存在したが、JR北海道のこちらはオハネ14形からの改造。
554号はイラストのように車体中央にエンブレムが付いた。555号以降はB個室が「ソロ」10室になっている。
オロハネ25形500番台、こちらはJR東日本の所有で、同じグレードアップ車ながら帯のデザインに違いがみられる。
こちらはソロ12室とロイヤル2室で、オハネ25形から改造。
スハネ25形550番台、イラストの502号はオハネ25形からの改造だが、503号のみはオハネ14形からの改造である。
ソロ8室とミニロビーを備えた車両で、必ず食堂車の隣に連結された。503号はロビー部分の窓の大きさと枚数が異なる。
車端部の手すりはなぜか全車14系タイプであった。
続く中2段はロビーカー。ともにオハ25形だがJR東日本所有車はオハネ25形から改造の500番台、
JR北海道所有車はオハネ14形から改造の550番台、シャワールームを2室備えた車両であり、
ここにも両社の社風が見て取れる。550番台は1両のみであった。
続いては食堂車、スシ24形500番台である。他の車両に比べて車体長・車高ともに小さいがそれもそのはず、
もとは特急電車485系(
illust/65945796)・489系のサシ485形およびサシ489形を改造したものである。
両社ともに「グランシャリオ」(英語で「北斗七星」の意)という車両愛称があった。
むろん電源車も改造がなされている。カニ24形は防火対策と低騒音化を行うため、
オリジナルのDMF31Z-Gエンジン・DM95発電機からDMF15Z-G(コマツSA6D140A)・DM109発電機に換装、
さらに雪切設備も追加搭載している。これらの改造により新たに500番台を名乗っているが、
0番台改造の車両と100番台改造の車両とがあった。側面のルーバーも埋め込まれすっきりしたサイドビューとなった。
もう一つは電源車の不足を補うため、50系の荷物車マニ50形の車体中央にやはりコマツ製エンジン2台を
搭載し、電源車に仕立て上げたマニ24形500番台。JR東日本とJR北海道に1両ずつ存在した。
少しでも違和感を和らげるためにエンジン搬入用のハッチを兼ねた飾り屋根がついているが、
車体断面の違いまでは誤魔化しきれなかった様子である。
最後の下段3段はJR東日本が1989年に製造した「夢空間」ことオシ25・オハフ25・オロネ25形の各900番台。
オシ25形は展望室タイプの食堂車「ダイニングカー」で、製造は東急車輛、内装は東急百貨店が担当した。
24系の中にあっては唯一の「展望車タイプの食堂車」である。
続くオハフ25形は富士重工製で松屋デパートが内装を担当した。「クリスタルラウンジ」の愛称がついており、
自動演奏装置付きのピアノが置かれ、車内にはバーカウンターを設置していた。
オロネ25形は日本車輌製で、内装は高島屋が担当。A寝台「エクセレントスイート」1室と「スーペリアツイン」2室を持ち、
「デラックススリーパー」の車両愛称があった。
「北斗星」は上野から札幌を結ぶ豪華ブルートレインとして華やかにデビューしたが、24系そのものの老朽化や
格安航空会社(LCC)の台頭による乗車率の低下などで減便が行われた。
それでもなお、「北斗星」はその豪華な車内設備から人気列車であったのだが、
北海道新幹線の開業が迫ると、新幹線走行試験と車両の老朽化のため2015年3月に定期運行終了、
8月には臨時列車も運行を終了し、多くの利用客やファンに惜しまれつつ姿を消した。
日本の寝台特急史上に燦然と輝く「豪華寝台特急第1号」であった。