ツイのリクより
村上信夫シェフは我が国にフランス料理やバイキング方式を広めた日本の料理界のキーマンで愛称は「ムッシュ」。
昭和39年の東京オリンピックでは女子選手村の総料理長を務めた。
戦前から帝国ホテルなど名だたるレストランを渡り歩いた包丁人でNHKの料理番組「きょうの料理」に出演してプロの味を家庭に広めた功労者である。
これまで「プロの味」はほぼ門外不出で一般庶民が知る機会がなかったが、運用が開始されたばかりのテレビを通じて日本中の主婦や洋食に馴染みの無かった市井の料理人たちに技法を伝授することになる。
出演に際して「ベリーグッドです」「全然難しくありませんね」などのキメ文句を駆使しての軽快なトークで人気を博した。
「軍人としての村上」にも特筆すべきものがあり、彼は昭和17年に21歳で陸軍に志願入隊。
当初は近眼であったことから練習砲弾を逆さに装填して鉄拳制裁を受ける等苦労したものの次第に歩兵砲の才能を開花させ大陸戦線(山東省)では百発百中を誇った。
戦場でも料理に関する逸話が多く、とある敵陣地への攻撃前夜に乏しい食材を駆使してカレーを作り戦友達に振舞って大いに感動させたが、このカレーの匂いを嗅ぎつけた中国軍に攻撃を察知させて撤退させてしまった。 またシベリアに抑留された際に限られた物資で菓子を作り戦友達に生きる希望を与えた等のエピソードが残されている。
昭和59年に黄綬褒章受章。
平成17年に心不全の為84歳で大往生を迎えた。