一部トレスあります

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1枚目の怪文書

　あれは後輩がポラロイドカメラを持ってカルデアを歩いていた時の事よ。後輩自体、別にカメラを持って歩く理由なんてなかったわ。カメラなんて支給の端末を起動させればすぐに使えるもの。ただ後輩には撮ったらすぐに形になるポラロイドカメラが珍しかったんでしょうね。
　そんな訳で後輩は被写体を探すべく歩いていたのよ。そこに現れたのは竜のカケラっぽい奴、ジークだったわ。公式で顔がいいと言われてるし、被写体にはうってつけだったわ。後輩はさっそく交渉してみたわ。無論ジークは即okを出したわ。本人からすれば断る理由もなかったんでしょうね。もしくはカケラだとしても写真として残したいものがあったんでしょう。後輩はジークだけのつもりだったんだけど、ジークは仲間を呼んだわ。その時に応じたのは適当に祭り上げて捨てられた聖女——ジャンヌだったの。
　ジャンヌは戸惑ったものの、ジークの提案を受け入れて隣に並んだわ。ここからが問題。
　ジャンヌは奇怪な鳴き声を上げながら、ジークの肩を抱こうとしたわ。震える手で、情けない声をあげながら、なんとも言えない顔して……。後輩、これは私でもわかるわ。こう言うのを『拗らせ童貞』って言うんでしょ？
　違う？　顔真っ赤で、脂汗ひどくてそれっぽかったんだけど。と言うか、この女、仏蘭西の戦場ではもっとひどい顔してたけど、こんなただの村娘みたいな顔もできたもね。戦場に立たなければあんな風に燃やされなくて済んだのにね。——え？　なんでそんな事知ってるかって？　そりゃ長く生きてれば偶々目撃する事くらいあるでしょ。魔女狩り経験者の私としては横槍入れてもよかったんだけど、あれはダメね。蘭陵王と同じ。もう結末を決めた目だったわ。
　まぁ、拗らせ童貞も話は置いといて、ジャンヌは慌ててる間にジークはとっくのとうにジャンヌの腰を抱いてたわ。手が早いわ、この邪竜。なんでもアストルフォとか言うのに教わったらしいわよ。写真を撮る時は密着してピースするって。……ピース下手ね、ジークは。
　後輩。アストルフォの知識って言葉は友人から借りたエロ本並みに便利な言葉ね。言い訳にしやすいわ。
　あ。さっきから話がズレてるわね。とにかく目の前でイチャコラを見せつけられた後輩はとりあえず笑顔で応対してたわ。
　後はわかるわね。バカップルに当てられた熱でえんまちゃんを押し倒したのよ。発散する為に。そして生まれたのが、後輩の息子よ。

ジーク「写真を撮るんだ。もう少し寄ったほうと思うのだが」
ジャンヌ「ひゃぁ……(ち、近いです。で、ですが、寄らないといけない訳ですし、肩とか抱いてもいいでしょうか？)」