先輩とカラオケに行ったあの日、ボクは突然店の外に出て車道に飛び出した、らしい。…正直よく覚えていない。
幸い軽い打ち身で済んだけど、お医者さんにかなりの記憶の欠落があると言われた。
頭じゃなくて心の問題じゃ無いかと言われ。何故か先輩のことを聞かれたけど、先輩はすごく優しいし、嫌なことなんて全くないですと答えておいた。
仕事とはいえ先輩を疑うなんて…。もうあの病院行きたくないな、先輩も行かなくて良いって言ってたし。
その後無事に退院出来た。親には休学して実家に戻れなんて言われたけど、留年なんてごめんだ。
ただでさえ一年浪人してるのに…。
あれ?なんで、浪人、したんだっけ………、まぁ、いいか。
とにかく、生活に支障はないし、大学にもちゃんと行けてるから大丈夫だよと断った。
…そしたら母さんに泣かれてしまった。息子が大学以前の記憶が丸々無いなんて、確かに不安だろうな。少し冷たかったかな。
でも、戻ったら先輩と会えなくなっちゃうし。そしたら何のために、…?なんの、ため……???ここで勉強するため、だよね?せんぱい。
本当に、問題が無いんだ。全くの平穏だ。
それより先輩とはあの日以来距離が少し縮まった気がする。
…実はボクは先輩のことが好きだ。初めて会ったころからずっとずっとずっと好きだった。
優しいし、趣味も合うし、勝手ながら相性がいいんじゃないかなと思っている。
先輩もそう思ってくれてると良いな。
(折を見て告白するぞ!がんばれボク!!)
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そうだね、「コウ」くん。ずっと一緒だよ。