多謝!のんちさん(
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ギュウコ「さて、ようこそ勇気ある挑戦者。非常に我々は嬉しい。君たちの眼の前にいるのがこの街のリーダー、ギュウコだ」
そういって3mほどの上から一行を見下す獣人がギュウコだ。
サリナ一行はさすがにおとなしく、彼の話を聞いている。
ギ「説明しよう。この街にきて我々に失礼な態度をとった人間に許された道は二つだ。謝って一生我々のために働くか、『ダンク法』に従って我々と対戦するかだ。どうだ、慈悲深いだろう?」
サリナが口を開く。「どこが、よ。だいたい…」その口を制して立ち上がったのが鍔芽だ。
鍔「いいよ。それで何、『ダンク法』ってのは」
サ「ちょっと。鍔…」
ギ「そこの娘さんに教えよう。バスケは知ってるか」
鍔「知らない」
ギ「結構だ。知らなくてもできる簡単なゲームに付き合ってもらおう。1対1でお互いのバスケットに飛びあがってボールを入れる。先に5点入れたほうが勝ちだ。ハンデとして君から初めていい」
鍔「よし。じゃあさっそく…」
サ「待ちなよ!」
ここで律子も鍔芽を阻んだ。「ちょっと待って!仲間は3人なの?」
鍔「見てのとおりだ」
律「リーダー。ちょっとタイム」そう言うと、律子は3人を呼んで話をはじめる。「巻き込んでごめんなさい。あなたたちを呼んだのは石片の反応からだけど、ちょっと構成を教えて」
鍔「ツバメだよ。剣術も体術もできる。この中だと最強かな」
サ「あたしはサリナ。スポーツは弓道と剣道ができるみたい(ここで律子は目を上げたが、桃花に目を移す)」
桃「わたし、桃花です。魔法一般は心得てるつもりです」
律「ありがとう。言葉にウソがあるとは思えないし、ツバメさん、お願いします」
サ「大丈夫なの?ツバメにもしもの事があったら…」
律「サリナさんが異世界から来たばかりなのは知ってるよ。ごめんなさい、勝つ確率は低い。治癒魔法を使える桃花さんがいる以上、無駄に疲れる必要はないんです」
鍔「ツバメは負けない。サリナはここは力をため込んでて」
そう言われるとサリナに食い下がれる訳もなかった。鍔芽は手を挙げ、前に出る。
獣人を相手に、鍔芽のドリブル合戦が始まった。知らないとはいえ、ルールを飲み込むのは鍔芽にはお茶の子であるようだ。獣人もさる者で少しずつ互いに得点を稼いでゆく。
鍔「さて、と!もうお遊びはいいな。けりをつける!」
それは相手の獣人がダンクを決めようとしたところだった。彼が得点を確信したところで、後から飛び上がった鍔芽は下から敵のボールを弾いた。ぎょっとした敵の頭上、ボールは鍔芽に掻っ攫われる。
鍔「生憎!」
鍔芽はドリブルで自分の攻めるゴールに走る。余裕で、バスケットにダンクを決め込む。
桃「(陶然として)ツバメさん!」
サ「やりィ…って!」そのとき、サリナは異様なモノを見た。
バスケットが歪んでいる。
時計回りに、一斉に生え揃った牙がバスケットを凶器と変え、ボードはボールを呑んで咀嚼する。
「アイニクだなァ…俺のセリフだぜェ」その獣人は舌なめずりする。
着地した鍔芽が振り返ると、敵はのんびり自分のバスケットにダンクを決め込んだ。
鍔「負け…た…?」
鍔芽は気づいた。自分の腕からワサワサと柔毛が生えてくる。骨格が歪んでくる。
鍔「何だこれ!デタラメだ!これがルールか!」
ギュウコ「そうだよ。これはギュウコ流バスケのルールに合ったプレイだ」
ギュウコの、観衆の、そしてサリナたちの眼の前で、
鍔芽は、大きな猫に変貌した。
桃「きゃあああああああああああああああああ!」
蒼白になる桃花、律子、サリナの前で猫は躰を逸らせ、自分の姿を眺めて愕然となっていた。
ギュウコは嗤う。
ギ「勇者に賞讃の拍手を与えよう!」