アーサー王のモデルは複数人想定されておりますが、その中の一人が2世紀のローマ軍人ルキウス・アルトリウス・カストゥスという人物です。彼は180年頃ローマ帝国属州ブリタニアで軍務に就いており、現在のウクライナに相当する地域であるサルマティアに住んでいたイラン系騎馬遊牧民サルマタイ人の騎馬戦士から成る部隊を指揮していたと考えられております。
サルマタイ人は地面に突き刺さった抜き身の剣を神聖なものとして崇め、アーサー王伝説に似た内容の英雄物語を持っていました。サルマタイ人の共同体は、属州ブリタニアが西ローマ帝国から放棄される直前の400年頃までは、ブリテン島に存続を確認できます。続くアーサー王伝説の舞台となっている時代に、彼らは侵略者から旧西ローマ帝国属州ブリタニアを守る為に現地の人々と一緒に戦ったと推測されます。それ故に、サルマタイ人の文化がアーサー王伝説の基礎にあるという説が唱えられております。
そのアーサー王伝説サルマタイ人起源説に基づいて作られた映画が「King Arthur」(2004年)。当該作品では、円卓の騎士はサルマタイ人の騎馬戦士として登場します。という訳で、ランサーアルトリアオルタにサルマタイ人の騎馬戦士の装備を着せてみました。サルマタイ人は走る馬上から矢を放つ技能に優れており、且つ人馬ともに甲冑を身に着けて長槍を携えて突撃する戦法も得意でした。
前回の「アーサー王の時代なアルトリア」(
illust/131173661)も見てね!
背景は、サルマタイ人の騎馬戦士たちが駐屯した、ローマ帝国がブリテン島北部に作った防衛線「ハドリアヌスの長城」をイメージしております。
◆参考文献
R Brzezinski, M Mielczarek“The Sarmatians 600 BC - AD 450”
クリストファー・スナイダ―『図説アーサー王百科』
エイドリアン・ゴールズワーシー『古代ローマ軍団大百科』