【KAILI💕第10話第二章】
このお話しは
KAILI💕第10話第一章】
illust/134511315の続きです。
国立病院の個室で、
白波氏から「アビィ(海里の母親)」へ送るピデオレターの録画準備が整い、録画がスタートする。
白波 健吾(アビィの夫で、海里の父親)
「HELLO アビィ!健吾です。久しぶりだね。
今来てくれている私達の娘「海里」とそのの同僚の方のご好意でビデオレターを撮っていただいてます。
何を話そうか迷ったけど、まずあの事から。
君を助けて一年がすぎた頃、君は「なぜ私なんかを助けたの?」と聞いてきた時答えをはぐらかしてしまい申し訳なかった。アレはなんというか恥ずかしくてね。そのぉ……実は君に、『ひとめぽれ』したからなんだ。こんなことを話すと君との思い出しか浮かんでこないな。海辺の散歩は、月明かりが君の顔を照らしてなんともロマンティクだったし…」
海里・レッドシャーク
illust/132682700(お父さんとお母さん、 めっちゃラブラブ💕👫💕
だったんだ♪)
鯱島
illust/132683893(余命1ヶ月の瀕死で、のろけ話が出来るとはスゲーなぁ…これも『愛のチカラ』かねぇ。)
そしてしばらくは思い出を語り続ける海里の父親白波氏。
録画時間が残り少なくなってしたところで、鯱島が手で合図を送る。
白波
「おっと、つい思い出話ばかり話してしまったね。君にお礼も言っておかないと。
アビィ、娘の海里を産んでくれてありがとう。
当時は、君のM星の親類等から「異星人との子など堕ろせ」とか言われていたんではないだろうか。だがそれでも君は、僕達の子を産んでくれた。感謝の言葉しかない。そして、その子をこんな立派な娘に育ててくれてありがとう。ご両親は既に他界してると君は言っていたからおそらく君一人でこの子を育ててくれたんだろうね。
そしてこれだけは話しておかないと不味いだろう。僕はね、いま不治の病に罹っているんだ。既に手遅れで、あと余命1ヶ月。このビデオレターが届く頃には、ぽくはもうこの世に居ないだろう。
再会を楽しみにしている君を、ガッカリさせて申し訳ない。
だから、最後だから言うよ…
アビィ今でも君を イヤこれからも永遠に愛しています。」
そして撮影終了の合図を鯱島へ送る白波。
ビデオレターの画面はここで終わる。
白波
「ありがとう海里、そして皆さん。これでアビィに伝えたいことはこのビデオレターに全て納られたと思います。ああ、そういえば何といったかガタイのデカイ君は?」そう言って岬を指さす白波氏。
岬 竜太
illust/132683046「はっ!岬 竜太であります。海里さんとの「バディ」を務めさせていただいてます。」
白波
「そうか、岬くんか。君は、僕の若い頃にそっくりだねぇ。」
海里
「お父さんもリュータみたく体格が良かったの?」
白波
「そうだよ(*^^*)お父さんも若い頃は彼ぐらい筋肉があってね。アビィとの海岸のデートではよくアビィをお姫様抱っこしたものさ。あと、岬くん 君には僕と同じ「匂い」というか「オーラ」を感じるよ。」
岬
「同じオーラですか?」
白波
「そう、『異星の人魚姫に心を奪われた者』のオーラをね☆」
岬
「えっ、えっ何をおっしゃって(;・`ω・´)」
白波
「HAHAHA、隠さなくてもいいさ。僕らは同士みたいなもんだしね。」
岬
「………」
海里
「何、リュータとコソコソ話してるのお父さん。」
白波
「いやいや、まぁ…」
岬
「あの~海里さんのお父さん、実は海里さんのバディとしてお父さんに謝らなければいけないことが。」
そして個室の床に額を押し付けて、土下座をする岬。
白波
「はて、僕に謝らなければいけないこととは?」
ぎょっとする海里。
海里
(まさか……)
岬
「申し訳ありません。作戦行動中の事とはいえ、
海里さんの裸を見てしまいました!
ですがアレは本当に事故でして…」
その時真っ赤に赤面した海里が、土下座をしている岬の後頭部めがけて「エルボースマッシュ」をお見舞いする。
海里
「お父さんの前で、なんて事言ってるのよ馬鹿リュータ‼️貴方のそのデリカシーが無いところが大嫌いなの。」
そして我に返る海里。
海里
「イヤ〜お父さん今のは忘れて(><)」
そう言って個室の隅に顔を手で隠しながら逃げる海里。
白波
「(`∇`)HAHAHA、こりゃぁなんとも懐かしい光景だろうか。」
海里
「えつ?」
白波
「いや~、僕もアビィも一緒に暮らし始めた頃はそれぞれの文化の違いで、よくケンカしたものさ。たまにアビィの鉄拳や蹴りが飛んできてね。」
海里
「え~、あの物静かなお母さんが…信じられない。」
白波
「まぁ、最後は必ず仲直りしてたけどね。
おーい、岬くん生きてるかい?」
岬
「はい、なんとか…」息も絶え絶えに返事する岬。
白波
「君は、ホントに『馬鹿正直者』だねぇ。
岬
「よく言われます。」後ろ首を擦りながら起き上がる岬。
白波
「まぁ、裏表が無いのはある意味「美徳」でもありうるし…ふむ。」
「よし!岬くん、 僕の目の黒いうちは、娘の海里を嫁には出さんからね。」
海里「お父さん!いったい何を??」
岬
「ええ、そんな殺生な…、いえ何をおっしゃいますか白波さん。」
白波
「岬くん、そこは『お義父さん』と読んでくれたまへ😊」
岬
「白波さん??」
今度は、岬がポカンとしてしまう。
白波
「いやいや悪かった。今のセリフ。前々からぜひ言ってみたくてね。このセリフはね、娘が生まれその娘が元気に育って自分の結婚相手を父親の元につれてこないと言えないセリフなんだよ。だからアビィと結婚した時にこのセリフを将来言えますようにと願ったものさ。ああ、昔からの願いがまた1つ叶った。
今日は、なんて素晴らしい日なんだろう。
さあ、ここからが本題なんだけど、この先君には娘の海里のチカラになって欲しい。父親らしいことを何ひとつしてやってあげることが出来なかったこの僕に代わって…」
岬
「白波…イエ お義父さん!この岬 竜太! 命をかけて海里さんのお役にたってみせます。」
白波
「おお、『命をかけて』とまで言ってくれるかい…
ありが…ゲボゴホッゴホッ‼️」
突如口から血を吐く白波。
白いベットのシーツが血で染まる。
海里
「きゃああああお父さん」
泣き叫ぶ海里。
鯱島が急いでナースコールのボタンを押す。
鯱島
「海里ちゃん、フードを被って!すぐに医者が来るぞ。」
すぐさま医者と看護師が駆けつけ、白波氏をストレッチャーに移して救命処置室に運んで行った。
救命処置が終わるのを待っていた3人だったが、
白波氏はそのまま帰らぬ人となった。
【第10話三章
illust/134557396へ続く】