東海旅客鉄道キハ85系:
正式には「85系気動車」。
キハ80系(
illust/67111671)の老朽置き換え及び高山本線の特急「ひだ」、関西本線・紀勢本線の特急「南紀」のスピードアップを目的に
1989年から登場した。
車体は軽量ステンレス製で、前頭部分は衝突時の破損対策として普通鋼製のブロックとしている。
このデザインスキームはJR東海の在来線車両のスタンダードとなっていくこととなる。
「ワイドビュー特急」の第1号でもある。
エンジンは米国カミンズ社の鉄道車両用エンジンNTA-855R1を採用。JR東海での形式はC-DMF14HZ。
従来の国鉄世代のエンジンに比べると小型軽量で出力も大きく、こちらもまたJR東海のスタンダードエンジンとして
広く採用されていくことになる。変速機も新潟鉄工所(→新潟トランシス)で新規開発された2段変速式の
C-DW14Aを採用したことで、持ち前の高出力とあわせて高い加速性能を獲得。
「電車に匹敵する性能の気動車」として、日本の気動車技術の急進歩をアピールするに至った。
形式は先頭車キハ85形、中間車キハ84形のほか、半室をグリーン車とした中間車キロハ84形、
パノラマグリーン席の先頭車キロ85形が製造された。さらにキハ85形は非貫通タイプの0番台、
貫通タイプの100・200番台(バリアフリー改造により1100・1200番台)が製造され、
中間車キハ84形も車内設備の相違で0・100・200・300番台と4タイプに分かれている。
2012年ごろからシカなどの大型動物との衝突事故が相次いだため、「南紀」用のキハ85形には前頭部分に
スポンジゴム製のフロントバンパーが設置され異彩を放っている。
2019年以降には後継のハイブリッド気動車が投入されることが決まっており、2022年度から順次置き換えが開始される予定である。
なお、名鉄キハ8500系(
illust/57954775)とは基本性能やメカニズムなどが共通しており、実際に併結運用も行われた。